環境・新エネルギー議員連盟 北欧先進地視察レポート

 ☆期間:2008年3月22日〜28日
 ☆視察地:オーストリア ウィーン市
        デンマーク コペンハーゲン市
        スウェーデン マルメ市

オーストリア ゲンゼルンドルフ ゲルトナーホフ レベンスラウム エコ住宅地


○ゲルトナーホフ エコ住宅団地(第1期)

 ・20年前の1988年に建設されたオーストリア初のエコ住宅団地。環境を破壊しながらの集落の分散化、住宅の郊外化が進む中で、自然環境との調和をテーマに太陽光の活用やリサイクルを追及した住宅団地。


 2階建て集合住宅 10世帯、 平屋建て住居 11世帯を密集して建設。
約100名のコミュニティーを形成。付帯施設として、ビオトープ(泳げる池)・サウナ・集会施設・し尿処理露天浄化システム(3段の池にアシと小石を敷きつけ浄化。最下段の池は風車で水をくみ上げ、曝気方式で浄化している。)を設置。全戸は太陽光を最大に活用するため、開口部のガラス面を最大にとり、明かりと熱の吸収を図り、給湯にも利用するパッシヴソーラーシステムを採用。外壁はレンガタイル、外断熱とペアガラスでシステムを補完している。
 また、雨水を屋根樋等で集水し、飲み水以外に利活用したり、汚物処理にコンポストを導入、トイレにおがくずを用意し排便時に混入させ、微生物により分解処理。8年に一度の割合で地下の所謂、肥溜めから搬出しているという。

20年以上前に提案され実証されてきた住宅団地に、現在に至るまで設計・研究者が住み続け、さらなる展開が図られ、2期計画のレベンスラウムや他地域の環境システムの提案へとつながっている。
 当時{20年前)は、太陽光パネルが発達していなかったため、太陽光発電は取り入れられていないが、一基の風力発電でこのコミュニティーの電気需要は賄われている。
 パッシヴソーラーシステムによる太陽光の活用、雨水の利用、風力等の自然エネルギーを活用した住宅は、日本でも導入が考えられており、特に群馬県は日照率の高い地域なので、これらのシステムと太陽光発電をあわせた、さらなるエコ住宅の開発が可能であり、地場産業の活性化にもつながるものと考えられる。


○レベンスラウム エコ住宅団地(第2期)

 ・ゲルトナーホフに隣接する第2期計画のエコ集合住宅で、2005年に完成。地下熱やヒートポンプ、ペレットストーブを導入し、さらなる発展を見せている。
 
 2階建て32世帯、約100名の集合住宅で、総工事費は450万ユーロ(約7億1000万円)
中心部に集会やイベントが出来る共同キッチンを備えたコミュニティーホールを設置し、ゲルトナホーフ(第1期)と同様、パッシヴソーラーシステムを採用し、地下熱(10℃)を取り込み、ヒートポンプで空気を夏は冷やし、冬は暖め、地下1.5mの直径30cmの配管で各戸に送るという地下熱活用を行っている。またボイラーは近くで加工されるペレットを燃料とし、化石燃料は一切使用していないという。この地下熱活用は、ヨーロッパ、特に北欧では多く取り入れられ、公共施設にも使われているそうだが、日本ではまだ活用が少ないようだ。
 太陽光、風力、水、地下熱といった自然エネルギーの活用を可能な限り取り入れ、自然環境と住宅との共生を図っていくことは、それぞれの地域風土や環境に合わせて個性ある地域づくり、まちづくりに今後益々重要となっていくと考えられる。

○シュピッテラウ廃棄物熱処理施設(地域暖房会社)
 ダイオキシンの発生量を抑えた最新技術の廃棄物処理施設と廃熱利用の地域暖房システム。
フンデルト・ヴァッサー氏の「視覚汚染」を和らげる外観デザインにより、一般的には迷惑施設として郊外立地を余儀なくされるが、この施設の半径6キロ内に64万人の住民が生活し、その中心地域の暖房システムとしても稼動している。




○オーストリア日本大使館訪問

 ・福田総理事務所の紹介を受け、ウィーンのオーストリア日本大使館を訪問。オーストリアのエネルギー事情、地球温暖化防止への取り組み、オーストリアの内政・外交・経済・文化等について、坂本公使、今福一等書記官のお二人から詳細にご説明をいただき、意見交換を行う。

☆オーストリアのエネルギー外国依存率は72.6%。国内自給分の約3/4は水力を含めた再生可能エネルギーである。石油も量は少ないものの国内で算出しており、また、天然ガスは国内需要の約2割を自給している。(石炭はなし)なお、天然ガスは需要の約6割をロシアからの輸入に依存しているが、エネルギー安全保障の観点から、ロシアを経由しないガス輸送ルート(ナブッコ・パイプライン)が計画されている。
国内の総エネルギー消費に占める割合は、石炭(11.8%)石油(42.2%)天然ガス(21.9%)水力(10.4%)風力等(13.7%)となっている。
水力を含めた再生可能エネルギー合計は全エネルギー消費量費で見ても、24.1%と高いが、ドナウ川流域での水力発電が伝統的に多いことや、近年風力発電の建設が促進されたこと等が背景にある。

08年1月23日の欧州委員会紀行パッケージ案ではオーストリアに対し「2020年までに再生可能エネルギー比率34%」との目標が課せられた。これは他のEU加盟国との比較でもかなり厳しい目標であり、国内では「オーストリアのこれまでの気候変動問題への貢献も考慮すべきである」といった批判も出ている。
 なお、オーストリアでは原子力利用が憲法により禁止されている。現在、原子力関連事業(原子炉建設等)は行われていない。
かつてツヴェンテンドルフ(Zwentendorf)で原子炉が建設されたが、1978年の国民投票の結果その運用が否決された。その後80年代には全ての核燃料が撤去され、1999年には核分裂を禁止する憲法律が制定され、核兵器所有、核エネルギー利用、原子炉建設等の原子力関連事業をオーストリア国内で行うことが禁止された


☆オーストリア外交としては、1995年のEU加盟以来、EUの一員として共通外交政策の形成に積極的に貢献。国連重視政策をとり、第3の国連都市として国際原子力機関(IAEA)、国連工業開発機関(UNIDO)、包括的核実験禁止条約期間(CTBTO)等の国連諸機関を誘致。 欧州安全保障協力機構(OSCE)事務局、OPEC本部もある。また、国連平和維持活動にも積極的に貢献し、わが国自衛隊が参加しているゴラン高原の国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)のほか、コソボ(KFOR)等に部隊し、 これまでに延べ約6万人、現在約1200名を派遣している。EU議長国を務めた2006年には、シュッセル首相が訪日し、谷垣財務大臣、中川農水大臣が来墺。他方、我が国外務大臣の訪墺は、2003年の川口外相以来、総理の訪墺は、1959年の岸総理が最後とのことである。なお、オーストリアは、2009年に我が国との外交関係樹立140周年を迎える。

○コペンハーゲン環境&エネルギーオフィス
  CEEO(Copenhagen environment and energy office)
 
1996年に設立された、国、地方自治体がバックアップする独立NGO組織で、廃棄物の削減、省エネルギー・代替エネルギーなどの情報提供や洋土風力発電施設の建設と運営、指定地区でのごみ減量プロジェクトの運営など、環境保全対策をおこなっている。
 デンマークは山がなく、標高120メートルが最高で水力発電は見込めない。また、飲料水は地下水であり、地下の汚染は国民の生命、安全に直結する重大事である。このような地勢上の特徴からも、風力発電等のエコエネルギーの活用や廃棄物処理への対応を大変厳しい条件化で行わなければならないという。


デンマークもオーストリアと同じく原子力発電所は持たず、石炭などの火力発電が52%、ガス化オイル発電が18%、バイオマス10%、ハイドロパワー(スウェーデンからの水力、原子力)10%、ウィンドパワー8%(8%は平均値で最大で25%)ゴミ焼却残余熱2%となっている。
現在、最重要課題として、石炭依存率の高い大規模火力発電所から、小規模天然ガス、ワラを燃やしてのバイオマス発電群への転換が行なわれている。
風力発電の巨大風車は現在国内に5,200基。Horns Rev Offsore wind Farmはスウェーデンのマルメ市に渡る橋の両側に建設された洋上風力発電の風車群である。支柱の高さ70m、プロペラの直径120mの風車は、1基2メガワットの出力で80基、1時間に6億キロワットの電力を生産している。


○ウェスタンハーバー開発プロジェクト(スウェーデン マルメ市)

コペンハーゲンの南のエアポートからbridge to Malmo(マルモ橋)を渡り、古い街並みのスウェーデンのマルメ市まで30分。住宅見本市の開催をきっかけに、ハーバーの再開発を行い、中層エコ住宅団地群のコミュニティーを建設。
住宅街外側の建物は海風を防ぐため高くし、内側に低層住宅を配置。中心に住居棟でもあるシンボルタワーを立て、運河には海水を引き込み、海と連動させ、落差を造り、はっ気と流れを造りだしている。風力発電1基でこの地域の電気需要に対応、太陽熱パネルやソールコレクターにより15%のエネルギーを賄っている。地下90メートルから16℃の水をポンプアップしてヒートポンプにより熱交換を行い、地域暖房に利用している。各家庭からの生ゴミをデスポーザーで1ヶ所に集め、発生するメタンガスをバイオガスとして供給。全体のプランニング、各住戸のデザイン、エコロジーシステムと大変レベルの高い街づくり総合プロジェクトである。

○環境共生住宅地ーオーグステンボリ(スウェーデン マルメ市)

屋上緑化に先進的に取り組むエコタウンで、その屋上緑化面積は9500uに及び、スカンジナビアで最大規模となっている。
屋上緑化には@雨水の流出を最小限に抑えるA夏季の断熱、冬季の保温効果B都市内の自然環境、景観の保全C火災等の防災対策Dヒートアイランド現象対策などの効果があげられるが、ここオーグステンボリをモデル地区として、屋上緑化普及のための法整備、補助金情報の提供、研修セミナーの開催、展示会、国際会議の企画、運営、大学や企業との共同研究、国際的なネットワークづくりが行われている。